会社員の夫から、主婦であった妻への財産分与を請求できた離婚事件

■紛争の内容
妻が子(中学生)をつれて実家に行ってしまい、面会交流をしてくれなかった。
妻からは離婚を求められていたが、親権を妻に認めたくない夫は、この要求に応じることができなかった。
夫から家計を任されていた妻は夫に内緒で700万円もの貯蓄をしていた。
夫は親権及び財産分与について、自分を親権者にし、妻からの財産分与を受けなければ離婚に応じないとの意思があった。離婚の条件は夫婦での協議では整わなかったため、夫は弊社に依頼を希望、調停不成立を経て、離婚訴訟となった。

■交渉・調停・訴訟などの経過
当事者間に生まれた子供については、調査官の調査により母(妻)との生活を希望したが、父(夫)との面会も切望しており、裁判所からの説得もあってこれまで実現できなかった面会交流も可能となった。

■本事例の結末
結局訴訟上の和解はできず、判決により親権者は妻、財産分与は妻から夫に対し200万円を支払うという結論となった。

■本事例に学ぶこと
財産分与の際、勤務している男性側が支払いをすることが多いが、本件では妻の貯蓄を銀行取引履歴より証明でき、通常とは逆に、夫側が金銭支払いを求められるという結論になった。
親権については家庭裁判所の調査上子供の意思が重要視されてしまい、妻側に認められてしまったが、面会交流は通常の条項よりも宿泊等を伴うものも認めていることから有利なものと言える。
従前の子供と父との関係や、妻の財産状況を調べることの重要性を改めて感じさせられた。