?紛争の内容
夫に5~6年前から不審な行動が見られ(理由を告げない外泊、女性用衣類・鞄などをカードで購入する、女性に対する送金履歴等)、妻である依頼者が探偵業者に頼んで素行調査をしたところ、夫が女性とショッピングをしたり、ラブホテルを利用している姿を捉えることができました。
依頼者夫婦にはまだ学齢期の子が3人いたので、依頼者としては離婚は望まず、夫とその不貞相手の女性に対し慰謝料を請求することにしました。

?交渉・調停・訴訟などの経過
まず、弁護士名で両者に対し、慰謝料300万円の支払いを求める通知書を送ったところ、夫は不貞行為を認めたが、女性は不貞行為を認めず、支払いも拒絶してきた。
女性からも謝罪の言葉が欲しいというのが依頼者の希望であり、引き続き、慰謝料請求訴訟を提起した。

?本事例の結末
裁判の場でも、女性は「○○さんに妻子がいるなんて知らなかった」として不貞行為を争い、それに同調するように、夫も「自分が女性に独身と嘘をついていた。全ての責任は自分にある」と主張しました。
夫がこちらの請求金額である300万円を全額支払うと言ってきたことと、女性の認識の立証にかかる時間を勘案して、女性に対する請求は放棄し、夫との間で慰謝料300万円を支払う旨の和解を成立させた。

?本事例に学ぶこと
本件では、依頼者である妻が、5~6年前からの夫の不貞を裏付ける諸々の証拠(ホテルの領収証、買い物のレシートやクレジットの利用明細、女性への送金履歴が残っている夫の預金通帳、2人がラブホテルで一夜を明かす姿が写真に撮られた探偵業者の報告書)をきちんと揃えていたため、依頼を受けた弁護士としても強気に対応できました。
不貞慰謝料を請求する場合には、やはり「証拠が大事」であると思います。