不貞って具体的にはどんな行為?

実務上多い離婚原因として、配偶者の不貞行為(民法770条1項1号)があります。

この不貞行為とは、判例上、「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない」(最一小判昭48・11・15)とされています。

実務上は、一般人の異性との間の性的関係がよく問題になりますが、性風俗についても、性的関係を伴うものに複数回通っていた場合には、不貞行為にあたる可能性があります。

不貞行為について認定している裁判例では、不貞行為を「婚姻共同生活の平和の維持を侵害するもの」という意味合いで捉えているのが一般的なようです。

ですから、必ずしも性行為・肉体関係を伴わない抱擁やキスなどの行為でも、「不法な行為」と判断されている例はあり、「不貞行為は、挿入を伴う性行為がその典型例ではありものの…必ずしも不可欠な要素とするものではない」とする裁判例もあります。

しかし、逆に「あいさつ程度の行為」として、抱擁やキスを不貞行為ではないとした裁判例もあるので、実際には不貞関係を疑われている当事者の間の行為を、個別具体的に判断して慰謝料が生じるような不貞行為か否かを判断しているのが裁判所の考え方のようです。