離婚訴訟を提起されたけれども、その係属裁判所に納得がいかない場合

離婚の調停は、原則として調停を申し立てられた人(相手方)の住所地が管轄の裁判所となります。

これに対して、離婚訴訟は訴訟を提起する人(原告)の住所でも、提起される側の人(被告)の住所でも管轄があるとされています。

自分は訴訟を提起されてしまったけれど、訴えられた裁判所が原告の住所地の管轄で、納得ができない、という場合はどうしたらよいでしょうか。

このような場合、被告の側で提訴された裁判所に対し、「この事件を自分の住んでいる再場所の方に移送してください」という「移送申立て」をすることが考えられます。

この移送の申立ては、必ず認められるというわけではありませんが、提訴されてしまった裁判所で訴訟を追行することが、当事者にとって不公平で被告の利益を著しく阻害すると認められる場合には、認められる余地があります。

どのようなことを、どの程度証明すればよいかというのは難しいところではありますが、裁判所も公平の観点から考えるため、「その裁判所であると被告はどうしても行けない事情(体調など)があり、原告側にも移送先で訴訟追行することに支障がない」といったことを詳細に説明する必要があると思われます。