【誤解に注意】不倫・不貞をした配偶者への慰謝料請求の時効

配偶者の不貞が明らかになったとき、不貞相手・配偶者に対して、慰謝料の請求をすることができます。

前回のコラムでは、不貞相手への慰謝料請求の消滅時効について書きました。

今回のコラムは、配偶者への請求についてです。

不法行為に基づく損害賠償請求については、法律上3年の短期消滅時効が定められています。

しかし、夫婦間の権利義務は、婚姻解消の時から6カ月を経過するまでの間は時効は完成しない旨定められています(民法159条)。

したがって、離婚後6カ月以内に裁判上の請求などをすれば、消滅時効にはかからないのです(加藤新太郎・松本明敏『裁判官が説く民事裁判実務の重要論点 家事・人事編』83頁(第一法規出版,2016)。

まさにこの点が争われた近年の裁判例として、東京地方裁判所判決平成28年8月30日があります。

不貞を行った被告は、本訴提起日から3年前より前の部分については消滅時効が完成していると反論しました。
しかし、裁判所は、「本件の損害賠償請求権は,「夫婦の一方が他の一方に対して有する権利」に当たるから,原告と被告Y2が婚姻を解消したときから6か月を経過するまでの間は,消滅時効は完成しない(民法159条)。したがって,被告Y2の上記主張は採用することができない。」と判断しました。

時間が経ってしまったから・・・と諦めず、請求してみることを考えて良いでしょう。

また、不貞行為そのものだけではなく、離婚に至った場合には、離婚慰謝料としてより高額の請求が認められる可能性が高くなります。お悩みの際は、まず弁護士にご相談下さい。