離婚の事件について、「障害年金は特有財産だから財産分与しなくていい(財産分与してもらえない)」といったような言説を聞くことがあります。
しかしながら、事はそんなに単純なものではないというのが、経験上の感想です。

まず、障害年金の受給権(権利そのものです。受給したお金ではありません。)自体が財産分与の対象とならないことは問題ありません。
これは一身専属的な権利であり、他人に譲ることができない性質のものだからです。

問題は、障害年金として受給したお金(多くの場合は預貯金)についてです。
例えば、婚姻後の生活上の入出金がある口座に、障害年金も振り込まれていたような場合には、もはや障害年金(として受給したお金)だけを分離することが難しく、特有財産を主張することは難しいと考えられます。

では、障害年金は生活で使う口座とは別の口座に貯めており、生活上の入出金は全くないという場合にはどうでしょうか?

このような場合でも、一概には言えません。

まず、障害基礎年金には「子の加算」が、障害厚生年金には「配偶者の加給年金額」が、制度上加算されることがあります。
つまり、障害年金の制度の中に、家族の生活のために支給される部分があるということです。
そうすると、障害年金(として受給したお金)を性質上特有財産と言い切ることは難しくなります。

次に、そもそも障害年金は、障害者の方が生活をするために支給されているものですので、これを貯めることができているということは、障害年金の代わりに障害者の方の生活に充てられているお金があるということです。
それは多くの場合、障害者の方自身や、配偶者の方が働いて得た給料だと思われます。

婚姻期間中の給料は、原則として夫婦の共有財産となりますから、本来障害者の方の生活に費消されるべき障害年金を、夫婦の共有財産を減らして維持しているという関係にもなり得ます。
そうすると、障害年金(として受給したお金)を婚姻期間中貯めていくことに、夫婦の協力の寄与が全く無いとは言えないのではないでしょうか。

このように、障害年金と特有財産という考え方は、単純なものではなく、事案によって様々な結論があり得るところです。

もしご不安な点、ご不明な点等ございましたら、一度弁護士に相談されることをおすすめいたします。

埼玉県全域に対応しております。

法律相談
0120-25-4631