医師、開業医の配偶者をもつ方のために、医師、開業医との離婚における財産分与などに関して解説いたします。

医師の収入について

医師の平均年収は、勤務医であっても1000万円を超えると言われているため、他の職業の配偶者に比べ、婚姻期間中に形成される財産が多くなる傾向があります。

また、勤務医の場合でも、いわゆる掛け持ちをしていることも少なくありませんので、収入の把握が重要です。

医師の方が保有している可能性のある財産について

勤務医の場合

不動産、自動車、預金、保険解約返戻金、退職金等といった一般的な財産に加え、投資用物件、株式、投資信託、ゴルフ会員権といった投機的性質を有する財産を保有している可能性があります。

開業医の場合

以上に加え、医療法人の事業用資産(土地・建物、自動車、医療機器等)、医療法人への出資金といった財産を保有している可能性があります。

医療法人名義の財産は原則的には財産分与の対象となりませんが、実質的には共有財産であると評価できる場合には財産分与の対象となり得ます。

なお、配偶者が医療法人に対する権利を出資持分(医療法改正により平成19年以前に設立された医療法人に限ります)や株式等の形で保有している場合、医療法人の純資産額等から評価された出資持分等が財産分与の対象となります。

財産分与の割合と裁判例について

基本的には2分の1ルールが適用されます。

ただし、医師の場合、財産形成にあたり、医師としてのスキルや病院の経営能力等が与えた影響が大きいとして2分の1ルールを修正する裁判例も存在します。

・福岡高裁昭和44年12月24日判決は、約1億円の財産について、妻に2000万円の範囲で分与を命じました。

・大阪高裁平成26年3月13日判決は、共有財産について医師である夫の寄与を60%、妻の寄与を40%としました。

判例(平成26年3月13日大阪高等裁判所判決)では、①スポーツ選手のように…高額の収入に将来の生活費を考慮したベースの賃金を前倒しで支払うことによって一定の生涯賃金を補償するような意味合いが含まれるなどの事情がある場合、②高額な収入の基礎となる特殊な技能が婚姻届出前に本人の個人的な努力によって形成されて、婚姻後もその才能や労力によって多額な財産が形成されたような場合には、財産分与の寄与割合を加算する必要性があるとの指摘がされています。

ただし、配偶者が医師だからという理由のみで無条件に2分の1ルールが修正されるというわけではありませんので、共有財産形成に対する寄与を十分に行ってきたという主張を行うことが重要となります。

離婚に関するご相談は初回30分まで無料

ここまで医師を配偶者にもつ方の財産分与について説明してきましたが、財産分与を請求するためには前提として配偶者が保有する財産を把握しておく必要があります。

本格的な離婚危機が訪れる以前の段階で(別居等した後では財産を把握することが極めて難しくなります)配偶者がどのような財産を保有しているかを銀行、証券会社、不動産業者等からの通知から確認しておくことが重要となります。

当事務所では、多くの取り扱い実績がありますので、ぜひお気軽にご相談下さい。

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