紛争の内容
結婚して5年目のAさんは、夫Bと結婚し、パートタイマーをしていましたが、夫が不貞していることに気付き、夫にその事実を突きつけたところ、その事実を認めました。

ただ、相手の女性についてははっきり説明せず、AさんはBに裏切られたことに大変なショックを受け、夜も眠れない状態となりました。自らの調査により、不貞相手の女性Cの乗っている軽自動車のナンバーまでは分かったものの、名前までは分かりませんでした。

Aさんは、夫Bに対して許せないという気持ちが募り、離婚を決意したほか、Cに対しては不貞慰謝料を請求したいと思いましたが、名前も分からぬCの行為を理由に、夫に対する離婚と、不貞相手Cに対して慰謝料を請求したいと考えるようになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
Cの氏名は不明でしたが、弁護士に依頼したことから、弁護士会照会にてCの軽自動車からCの情報を突き止め、Cに対しても請求の通知が遅れる状態となりました。

また夫Bに対し、離婚及び不貞慰謝料請求の請求通知を弁護士を通じて行いました。

本事例の結末
結局、BはCとの不貞行為があったことや離婚原因が自分にあることを弁護士に対しても認め、不貞慰謝料として300万円支払うこと、離婚成立までこれまでAさんに払っていなかった婚姻費用なども併せて未払の費用を支払うことに合意していただき、その旨記載した離婚協議書を作成しました。そして夫より上記各金員についてお支払いをしていただき、離婚することができました。

C個人からは、結局慰謝料を回収することはできませんでしたが、夫Bが不貞慰謝料としては相当高額の金員を支払わせることができたのです。

本事例に学ぶこと
離婚や不貞慰謝料についての交渉を進めるうえで、客観的な証拠が非常に重要となるため、離婚及び不貞慰謝料を請求しようと考える場合には、証拠の収集が非常に大切です。また、もし不貞相手の情報が完全には分からない場合でも、断片的な情報から、弁護士会照会等の法的手続により、請求が可能になる程度に情報が得られることもあります。

ご自身だけではどうしても対応ができない、という場合でも、弁護士による手続で解決できる場合もあるので、まずはご相談を頂きたいと思いました。

弁護士 相川 一ゑ
弁護士 椎名  慧