紛争の内容
ご依頼者様は、3人の未成年のお子様(長男、次男、三男)を女手一つで育てていらっしゃいました 。離婚後、元夫である相手方からは養育費の支払いが滞りがちになり、生活の安定とお子様の将来に不安を感じる日々が続いていました。

相手方は当初、支払いに消極的な姿勢を見せており、当事者同士の話し合いだけでは、継続的かつ確実な支払いを約束させることが困難な状況でした。そこで、ご依頼者様は当事務所へ相談され、法的な拘束力を持つ取り決めをするために、さいたま家庭裁判所へ養育費請求の調停を申し立てることになりました

交渉・調停・訴訟等の経過
調停手続きにおいては、弁護士が代理人として間に入り、相手方との交渉を進めました。期日には電話会議システムなども活用され、スムーズな進行が図られました 。

この間、主張すべきことはしっかりと物を申し、堂々と対応することが重要です。
また、収入認定は争いになりやすく、まして相手が個人事業主であったため、日々の変動や業績不振など様々な点で問題になりましたが、合理的に考えられる収入や確定した前年所得を中心に主張反論を行いました。

最大の焦点は、月々の適正な養育費の額を確定させること、そして何より「これまでに積み重なった未払金をどう清算するか」という点でした。交渉の結果、お子様1人につき月額5万円、3人合計で月額15万円を、それぞれが20歳になるまで支払うという内容で合意形成が進みました。

さらに、過去の未払分についても粘り強く交渉を行いました。その結果、未払養育費として合計80万円強の支払義務を相手方に認めさせることに成功しました。

相手方の資力も考慮し、この未払分については毎月2万円ずつの分割払いとする現実的な返済計画を立て、確実に回収を図る方針をとりました。

本事例の結末
令和7年12月、さいたま家庭裁判所にて調停が成立しました。
作成された調停調書には、以下の重要事項が明記されました。

まず、令和7年12月から子供たちが成人するまで、毎月15万円(5万円×3人)が確実に振り込まれることになりました。

次に、未払分の80万円強については分割払いが認められましたが、ここには強力なペナルティ条項(期限の利益喪失約款)が組み込まれました。これは、もし相手方が分割金の支払いを2回以上怠り、その滞納額が4万円に達した場合には、分割払いの権利を失い、残額を一括で直ちに支払わなければならないという厳しい取り決めです。

この調停成立により、相手方の支払姿勢は劇的に改善し、滞りなく養育費が支払われるようになりました。万が一、再び不払いが起きたとしても、この調停調書があれば、新たな裁判を起こすことなく直ちに給与差押えなどの強制執行が可能となります。

本事例に学ぶこと
本件から学べる最も重要な点は、「口約束の養育費がいかに脆いか」そして「裁判所作成の調書がいかに強力か」ということです。

相手方が「払う余裕がない」「後で払う」と言い逃れをしていても、調停という法的手続きの場に乗せることで、適正な金額での支払義務を公的に確定させることができます。

特に重要なのが、今回の事例のように「期限の利益喪失約款」を入れることです。これにより、「支払いを遅らせれば一括請求される」というプレッシャーを相手に与え、支払いの確実性を高めることができます。

養育費は、お子様の成長と未来を守るための大切なお金です。

「相手が払ってくれない」と諦める前に、強制執行力という強い効力を持つ調停の利用をぜひご検討ください。弁護士が法的な盾となり、お子様とあなたの生活を守るための権利を最大限に行使するお手伝いをいたします。

弁護士 時田 剛志