「熟年離婚」について考える 定年後の自由の前に整理しておきたい、年金・退職金・住まいのこと

こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

9月の敬老の日は、自分たちの親だけでなく、長年連れ添った夫婦自身の「この先」を考えるきっかけにもなったかもしれません。子育てが一段落し、定年や年金生活が視野に入るこの時期、「もう十分に義務は果たした」と熟年離婚を意識し始める方が増えています。本コラムでは、熟年離婚特有の注意点である年金分割・退職金の財産分与・老後の住まいの確保について、弁護士が解説します。

なぜ「熟年離婚」は増えているのか

なぜ「熟年離婚」は増えているのか

厚生労働省の人口動態統計でも、同居期間20年以上の夫婦の離婚が全体に占める割合は年々高い水準で推移しています。

子供の独立や定年退職といった生活の節目は、それまで「子供のために」、「家計のために」と我慢してきた夫婦関係を見つめ直す大きなきっかけになります。

敬老の日を挟んで親族が顔を合わせる機会も、こうした思いを後押しすることがあります。「両親の老後の姿を見て、自分たちの将来を重ねてしまった」、「定年後も今のまま一緒にいる自分が想像できない」という声は、この時期の法律相談で実際によく聞く話かと思います。

熟年離婚が「若い世代の離婚」と決定的に違う点

熟年離婚が「若い世代の離婚」と決定的に違う点

熟年離婚では、婚姻期間が長いぶん財産関係が複雑になっており、特に次の3点が、その後の生活を大きく左右します。

① 年金分割

婚姻期間中に納めた厚生年金保険料の記録は、離婚時に夫婦で分割できる「年金分割制度」の対象になります。

専業主婦(主夫)期間が長い場合、この制度を使うかどうかで老後に受け取る年金額が大きく変わります。合意分割・3号分割のいずれに該当するか、按分割合をどう定めるかは、事前の情報収集が欠かせません。

② 退職金の財産分与

退職金は、婚姻期間に対応する部分について財産分与の対象となるのが原則です。

すでに受け取っている退職金はもちろん、定年前で「まだ支給されていない」将来の退職金も、勤続年数や支給の確実性によっては分与の対象と認められることがあります。金額が大きいだけに、算定方法をめぐって争いになりやすい部分でもあります。

③ 老後の住まいの確保

長年暮らした持ち家をどうするかは、熟年離婚における最大の悩みの一つです。

売却して財産分与するのか、どちらかが住み続けて代償金を支払うのか、住宅ローンが残っている場合はどう処理するのか。年齢的に新たな住まいを借りる際の審査が厳しくなる点も含め、早めの検討が必要です。

「切り出す」前に整理しておきたいこと

「切り出す」前に整理しておきたいこと

熟年離婚は、離婚後の人生の長さを考えると、勢いで進めるべきものではありません。切り出す前に、次の点を整理しておくことをお勧めします。

① 夫婦の全財産の棚卸し

預貯金、不動産、保険、株式、退職金の見込み額など、婚姻期間中に築いた財産をリストアップします。相手名義の財産であっても、婚姻期間中に形成されたものは、原則として、財産分与の対象になります。

② 年金分割のための「情報通知書」の取得

年金事務所に請求すれば、年金分割を行った場合の見込み額がわかる「年金分割のための情報通知書」を取得できます。話し合いを始める前に取得しておくと、現実的な生活設計の材料として役立ちます。

③ 離婚後の生活設計

再就職や年金受給開始年齢までの生活費をどう賄うか、住まいをどうするかなど、離婚後の具体的な生活をシミュレーションしておくことが、後悔しない決断につながるかと思います。

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談するメリット

熟年離婚では、年金分割の按分割合や退職金の分与額をめぐって、当事者間の話し合いだけでは折り合いがつかないことが多くあります。弁護士に相談することで、次のようなサポートが受けられます。

  • 財産の漏れのない洗い出しと、適正な分与額の算定。
  • 年金分割の按分割合について、調停や交渉での見通しの提示。
  • 住まいの処理を含めた、離婚後の生活を見据えた条件交渉。
  • 合意内容を将来のトラブルを防ぐ形で公正証書や離婚協議書に残すサポート、など。

まとめ

まとめ

熟年離婚は、離婚後の人生が長く続くからこそ、感情だけでなく年金・退職金・住まいという具体的な数字に基づいて冷静に準備を進めることが何より重要です。

「もう年だから」とあきらめる必要はございません。

「熟年離婚を考えているが、何から手をつければよいかわからない」、「年金分割や退職金の分与について詳しく知りたい」という方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。これまでの人生と、これからの人生の両方を大切にできる解決を、一緒に考えさせていただきます。

【無料相談実施中】まずは専門家にご相談を!

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適切なアドバイスを受けることで、安心して問題を解決する道筋が見つかります。

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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、専門チームの弁護士は、各担当分野について知識・経験とも豊富で、大きな強みを持っています。まずは、一度お気軽にご相談ください。

この記事を書いた弁護士:弁護士 渡邉千晃

離婚・不倫慰謝料

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。令和4年登録後、離婚案件を中心にこれまで多数の相談を受け、親権争いや財産分与など、複雑な離婚問題を解決に導く。単なる法的解決にとどまらず、依頼者の精神的負担にも配慮した事件処理を身上とする。不貞の慰謝料請求事件も多数携わり、慰謝料請求訴訟を含む実務にも精通する。不動産チームにも所属し、財産分与における不動産の取扱いについても知見を有する。