別居したら、まず婚姻費用の請求を|さかのぼって受け取れない分に注意【弁護士が解説】

夫と別居したあと、生活費が振り込まれなくなった。そんなときに請求できるのが「婚姻費用」です。

ただし、婚姻費用は請求が遅れると、その間の分を後から受け取れないことがあります。この記事では、婚姻費用の仕組みと、別居の前後にやっておきたいことを順に説明します。

婚姻費用とは

婚姻費用とは

夫婦は、離婚が成立するまで、お互いの収入に応じて生活費を分け合う義務を負います(民法760条)。この義務は、別居している間も続きます。

婚姻費用には、あなたと子どもの生活費のほか、子どもの学費や医療費なども含まれます。

金額は、家庭裁判所が使う「標準算定表」を基準に、夫婦それぞれの収入と、子どもの人数・年齢で決まるのが一般的です。目安は、当サイトの「婚姻費用の自動計算」で確かめられます。〔リンク:https://www.g-rikon.jp/konpi-keisan/〕

なぜ「すぐ」請求すべきなのか

なぜ「すぐ」請求すべきなのか

家庭裁判所の実務では、婚姻費用は「請求した時」からの分が認められるのが一般的です。多くの場合、書面で請求した時点や、調停を申し立てた月が起点になります。

たとえば、月額10万円が相当な夫婦で、別居から半年間請求しなかったとします。その半年分の60万円は、後から請求しても認められない可能性があります。

請求するときは、日付が残る形で意思を伝えておくことが大切です。

婚姻費用を請求する流れ

婚姻費用を請求する流れ
  1. 夫の収入を把握する:源泉徴収票、確定申告書、給与明細の写しなど
  2. 金額の目安を出す:標準算定表や自動計算で確認します
  3. 夫に請求する:内容証明郵便など、日付が残る方法で請求します。弁護士の名前で書面を送ることもできます
  4. 払われなければ調停を申し立てる:家庭裁判所の「婚姻費用分担請求調停」を利用します
  5. 調停で合意できなければ審判へ:裁判官が金額を決めます

調停や審判で決まった婚姻費用が払われないときは、夫の給料を差し押さえられます。差し押さえられるのは、税金や社会保険料を引いた給料の原則2分の1までで、通常の借金の場合(原則4分の1まで)より広い範囲です。給料については、将来の分もまとめて申し立てられます。

別居の前にやっておきたいこと

別居の前にやっておきたいこと

収入と財産の資料の写しをとる

夫の収入資料と、預貯金・保険・株式・退職金などの資料の写しをとっておきましょう。財産分与は、原則として別居した時点の財産が基準になります。別居した後では、資料を集めにくくなります。

住まいと当面の生活費の見通しを立てる

別居先と、婚姻費用を受け取るまでの生活費の見通しを立てておきます。

DVやモラハラがある場合は、安全を最優先に

新しい住所を夫に知られないための制度や、保護命令の手続があります。詳しくはこちらのコラムで解説しています。〔リンク:https://www.g-rikon.jp/column/20261005-3-2/〕身の危険を感じるときは、すぐに110番してください。

子どもを連れて家を出る場合は、事前に相談を

子どもを連れて別居するかどうかは、その後の親権や監護者の判断にも関わります。できれば別居の前にご相談ください。

よくある質問

よくある質問

夫が収入を教えてくれません

調停では、家庭裁判所から双方に収入資料の提出が求められます。2026年4月からは、家庭裁判所が収入の情報の開示を命じられるようになり、従わない場合は10万円以下の過料が科されることがあります。それでも資料が出ない場合は、職業や年齢などから収入を推計して金額を決めることがあります。

同居していても請求できますか

はい。同居していても、夫が生活費を渡さない場合は請求できます。

私が家を出た場合でも請求できますか

はい。ただし、別居の主な原因があなたの側にある場合(あなたの不貞など)は、あなた自身の生活費の分が認められにくくなることがあります。子どもの生活費の分は、通常どおり請求できます。

2026年4月からの変更点

2026年4月からの変更点

2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与と年金分割の請求期限は、離婚から5年に延びました(それより前の離婚は2年)。ただし婚姻費用は、離婚するまでの生活費です。期限を待たずに、早めに請求することが大切です。

グリーンリーフ法律事務所にご相談ください

グリーンリーフ法律事務所にご相談ください

別居を考えている方、別居したばかりの方は、お早めにご相談ください。初回のご相談は60分まで無料です。

ご自身と夫の収入資料、通帳などをお持ちいただくと、婚姻費用の具体的な金額の見通しをお伝えできます。

この記事の監修:弁護士 時田 剛志(弁護士法人グリーンリーフ法律事務所/埼玉弁護士会所属)

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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
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この記事を書いた弁護士:弁護士 時田 剛志

離婚

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所所属、埼玉弁護士会所属の弁護士。
平成27年12月登録後、離婚・男女問題案件を多数手がける。財産分与・親権・養育費・婚姻費用・面会交流など離婚に付随する複合的問題に幅広く対応し、協議・調停・訴訟のいずれにも精通。力強い交渉と柔軟な解決策を武器にしており、法テラス民事法律扶助審査委員の経験も有し、有責配偶者対応から寄与分の変更まで実績も豊富。法的解決にとどまらず、依頼者の平穏な生活の回復を目指したトータルサポートを実践している。