病気療養中のためなかなか連絡のつかない夫との間で協議離婚を成立させたケース
■紛争の内容
夫(40代会社員) 妻(40代無職) 子2人(10歳、9歳)
夫のうつ病が原因で夫婦仲が悪くなり、妻は3年程前に子供達を連れて自宅を出て実家に戻った。夫から妻に対して婚姻費用の支払いはなされていない。
その後、妻は、夫との間で離婚の話し合いを行うため、弁護士に離婚交渉を依頼した。
■離婚協議の経過
夫側にも弁護士がつき、しばらくはその弁護士を通じて交渉が進んだ。夫婦共有財産となる自宅不動産(夫と妻の共有名義)・預貯金・生命保険についても分与の方法が決まり、養育費の金額でも合意ができたので、離婚協議書案を作成するところまで話を詰めることができた。
ところが、その後夫が(身体的な)病気になり、連絡がつかなくなったため、夫側の弁護士が辞任。
こちらから唯一判明している自宅住所へ協議書案を送ったが、夫は入退院を繰り返しているためになかなか返答をもらうことができなくなった。妻は調停・訴訟を望んでおらず、夫の体調を考慮して粘り強く返答を待ち、条件を切り下げてきた。しかし、夫の容体は良くならず、時間ばかりが経過してしまうため、一日も早い離婚成立を優先させることにし、(諸条件を定めず)離婚届だけ記入してくれるよう申し入れた。
■本事例の結末
協議離婚成立
(ただし、養育費、財産分与、面会交流等の諸条件については合意なし)
■本事例に学ぶこと
本来は離婚の際に決めておくのが望ましい養育費や財産分与であるが、本件では、夫の病状がかなり深刻であったこと、一日も早く離婚してその後の公的手当を受けた方が現在の妻にとって経済的に有利であることから、苦渋の選択として離婚のみをお願いし、それが叶った形である。