?紛争の内容
長年にわたり、夫から家庭内暴力を受けていた母子が、夫の暴力に耐えかね、夫との別居を決意されました。夫は収入があるのに対し、妻側は財力がありませんでした。
保護命令を受けるほどの危険性はなかったものの、相手方である夫との交渉は直接できないとして弁護士が受任しました。

?調停の経過
相手方(夫)は、妻の主張を全く無視する意向であったため、離婚手続としては協議離婚ではなく調停離婚を検討しました。
調停内でも夫は離婚を拒否し、妻が避難の為一緒に連れていた子との面会交流を求めてきました。
しかし、別居・離婚の原因は夫の家庭内暴力であったため、その影響も考え、夫には親権も面会交流も認められないとして、夫の請求についてはいずれも拒否しました。

?本事例の結末
調停委員には、家庭内暴力の経緯や、現状子も夫と会いたいと思っていないことを説明し、面会交流の条件として、妻の姉を仲介してのみの面会交流を認めることとしました。
離婚については、妻の請求をいずれも容れる形での条項として、調停離婚が成立しました。

?本事例に学ぶこと
夫が離婚や面会交流の条件に納得できるよう、期日間にも弁護士から夫に手紙を書くなどして根回しをしました。
離婚訴訟となるとさらに時間がかかってしまうことも考え、相手方が調停内で同意するよう調停員からも説得してもらう根回し(別居に至る経緯を理解してもらうこと)が肝要と感じました。