?紛争の内容
依頼者である女性Aさんは、結婚して2年目の夫Bの様子がおかしいことに気づき、ある時Bに女性Cから、明らかに不貞関係を結んでいることが分かるメールが届いているところを見てしまいました。
BとCは、AさんがBと知り合う以前からの知り合いであったとのことで、BもAさんに対し、この女性Cと不貞関係にあったことを認め、一度はAさんも不貞を許したものの、その後もBがCとの交際を続けているらしいということが分かり、AさんはBとの離婚及びBCへの慰謝料を求めたいと考えるようになりました。

?交渉の経過
当初、Aさんはご自身の両親、Bの両親も交え、話し合いでの解決を試みたのですが、結局Bとの話し合いはできず、Bの両親もBをかばうだけで、具体的な話に至ることはなかったため、Aさんはやむなく弁護士を代理人として任意交渉をすることにしました。
依頼を受けた弁護士は、Cの住所地を電話番号から調べ上げた上で、B及びCに対し受任通知を出し、BCで合計350万円の支払いを求めました。

?本事例の結末
当初は、BもCも不貞の事実は認めるものの、資金がないとしてBは200万円、Cは50万円しか支払えない、などと主張したものの、Aさんはそれであれば離婚にも応じないとして、交渉を継続しました。
結局、BとCは二人で慰謝料を支払うことを約束し、離婚届と示談書の取り交わしを交換条件として、示談金300万円を支払うことで和解が成立しました。

?本事例に学ぶこと
本件では、任意の交渉により不貞行為及び離婚の慰謝料として300万円の金額を回収できたものです。
一般的には不貞の慰謝料は裁判例などでは低額化してきている傾向がありますので、婚姻期間が2年程度であったAさんの場合、訴訟で勝訴しても、300万円の慰謝料を認定してもらうのは難しいと考えられました。
ところが、離婚の手続も絡めてBとの交渉を続けたことで、最終的には訴訟等で不貞行為を争った場合よりも高額の慰謝料を得られたということになります。
訴訟等では厳しい可能性がある事件でも、相手方とのやりとりによっては、訴訟相場よりも多額の賠償を得られることもあると感じました。