?事案の内容
ご依頼者は,別居中の奥様から離婚調停を起こされ,慰謝料として300万円の支払いに加え,相当な財産分与を要求されておりました。奥様には,離婚調停申立の段階から弁護士が付いており,依頼者も不安をお持ちでした。私どもは,調停において,離婚慰謝料の発生や財産分与の方法を中心に争いました。

?本事案の結末
相手方はモラルハラスメントを主張し,離婚慰謝料300万円を請求しましたが,私どもは依頼者のみが破綻の原因を作ったものではないとの主張を貫きました。最終的には,離婚慰謝料は発生しないという前提で合意を成立させることができました
また,財産分与についても,依頼者が引き続き居住する自宅がありましたが,残ローンを踏まえると財産分与の対象財産が存在しないとして,合意に至りました。

?本事案に学ぶこと
離婚事件では離婚自体が争いとなることが多く,解決までの道のりは平坦ではありません。
仮に双方が離婚についてはやむを得ないと考えている場合であっても,親権,養育費,財産分与,慰謝料などの事項を取り決める必要があり,慎重な判断が求められます。
調停離婚の場合,弁護士を立てずに実施されることもありますが,調停成立後,調停条項に不満を持たれた方が相談にいらっしゃるケースも少なくありません。調停委員は中立の立場に立ち,当事者から主張されている内容から落としどころを探るため,当事者の一方に有利となるような内容を教えてくれることは基本的にありません。また,調停では,事実認定をせず,話合いによる解決を図るので,調停条項が合理的な内容とは限りません。
本件でも,相手方が頑なに慰謝料請求をしましたが,こちらはあくまでも慰謝料を発生させるような事実がなく,慰謝料請求の理由がないことを説明し,最終的には,申立てから約7か月で解決に至りました
本件は,弁護士が法的根拠をもとに調停委員を説得し,調停委員を通じて相手方を説得してもらうことが重要であると感じた事案です。