紛争の内容
配偶者からは度々離婚を求められていたが都度断っていた、ある日、配偶者が離婚届を置いていったためそのままにしておいたところ、配偶者が署名欄を勝手に記入し離婚届を提出してしまった、後日、役所から離婚届受理の通知が届きそのことが分かったというご相談でした。

離婚無効の手続は調停前置となっているため、まずは調停事件の代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
配偶者は一方的に自宅を出てしまっている状況でしたので、配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚無効確認調停を申し立てました。

初回の調停期日には配偶者は出頭しませんでした。2回目の調停期日には配偶者が出頭しましたが、署名欄を記入したことは認めるが離婚無効には同意しないという言い分でしたので、やむを得ず調停は不成立として離婚無効確認訴訟を提起することにしました。

訴訟に移行したタイミングで配偶者は代理人をつけましたが、離婚届を勝手に提出したことの事実関係は認めていましたので、裁判官から離婚無効で同意したらどうかとの打診がされました。

本事例の結末
裁判所において協議離婚無効を確認する審判が下され、協議離婚無効の結論となりました。

審判確定後、戸籍訂正の申請を行い、事件終了となりました。

本事例に学ぶこと
極めて稀ですが、配偶者が了承を得ずに勝手に離婚届を出してしまうということがあります。

役所は形式が整っていれば配偶者が提出した離婚届を受理してしまうため、提出された側は役所から離婚届を受理したという通知が届く段階で初めてそれに気が付くということになります。

一旦受理された離婚届を無効とすることは役所だけではできず、家庭裁判所の手続を要することになるため相当の手間と時間がかかります。

そのような事態を避けるため、配偶者が独断で離婚届を出す可能性がある場合には前もって役所に不受理申出をしておくことをお勧めします。

弁護士 吉田 竜二