紛争の内容
結婚以降、配偶者や配偶者の家族からのモラハラ等に耐えてきた、精神的な安らぎを求め不倫をしてしまったが、それを理由に親権等について不利な条件での離婚を迫られている、とのご相談でした。
配偶者が既に離婚調停を申し立てていたため、調停事件の代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
調停において配偶者は自身のことは棚に上げ、不倫をしている者に子は任せられないと強く主張してきました。
当方は不倫をしていることと親権の問題は必ずしも連動しない、これまで主として子との時間を過ごしてきたのはこちらである旨反論しました。
親権については家庭裁判所調査官が関与し、調査が行われることになりました。
これまで配偶者が育児を任せきりにしていたことは明らかであり、子も配偶者を避けているような状態であったため、配偶者に有利な調査結果は期待できない状況でした。
それを察した配偶者は子の親権を譲ることを前提に自身に有利な離婚条件(財産分与なし等)を提示する戦略に切り替えてきました。

本事例の結末
離婚条件について深刻に争えばより有利な離婚条件の獲得が期待できる状況でしたが、親権を離婚条件の交渉手段としか考えていない配偶者に対して時間をかけて付き合う意味はないとの考えから、双方、養育費を除く金銭条件なしということで離婚調停を成立させました。

本事例に学ぶこと
不倫と親権をリンクさせて主張をしてくるケースは多くありますが、両者は別問題として区別されるため、不倫=親権がとれないということではありません。
不倫をされた側の配偶者は不倫を強く主張してきますが、親権は、子の誕生以降の経過を踏まえ、子にとっていずれの親といるのが最善かという観点から判断がなされますので、安易に配偶者の主張を受け入れるべきではありません。
不倫に起因する親権の問題でお悩みの方は、是非一度、弊所までご相談いただければ幸いです。

弁護士 吉田竜二