紛争の内容
離婚に伴う「祝い金」と相場を無視した養育費の要求でした。
ご依頼者様(Aさん・女性・会社員)は、夫Bさんとの離婚協議を進めていらっしゃいました。お子様が二人おり、親権者はBさんとなることで合意していましたが、Bさんから提示された離婚条件は、Aさんにとって到底受け入れられるものではありませんでした。
Bさんの要求は以下のとおりです。
・「祝い金」名目での数百万円の支払い
Bさんは、離婚後の生活設計のため、また、これまでの結婚生活への感謝の気持ちとして「祝い金」という名目でAさんに数百万円を支払うよう要求してきました。しかし、Aさん側に特段の有責行為はなく、財産分与とは別途の金銭要求であり、その法的根拠は不明瞭でした。
Aさんは、Bさんの感情的な要求に困惑し、専門家の助けが必要だと感じ、当事務所にご相談に来られました。
交渉・調停の経過
弁護士による法的整理と粘り強い交渉を開始。
当職がAさんの代理人としてBさんとの交渉を開始しましたが、Bさんは当初の主張をなかなか譲りませんでした。「祝い金」については「気持ちの問題だ」と繰り返し、養育費についても「子供のためなのだから当然だ」との一点張りでした。
そこで、当職は以下の点をBさん(及び後にBさんが依頼した代理人弁護士)に丁寧に説明し、交渉を進めました。
・「祝い金」について
直接交渉では平行線を辿ったため、Aさんの意向も踏まえ、Bさん側から申し立てられた養育費分担調停(及び離婚調停)に応じる形で、家庭裁判所での話し合いに移行しました。
調停の場では、調停委員に対し、こちらの主張の法的根拠と客観的資料(Aさんの収入資料、養育費算定表等)を提出し、Bさんの要求がいかに法外であるかを丁寧に説明しました。
Bさん側は感情的な主張を繰り返す場面もありましたが、調停委員も徐々にこちらの主張の正当性を理解し、Bさん側に対して現実的な落としどころを探るよう説得を試みてくださいました。
数回の調停期日を経て、調停委員からも、
「祝い金という名目での支払いは法的根拠に乏しい」
「養育費は算定表を基準とすべきであり、それを超える部分は双方の合意がなければ難しい」
といった心証が示されるようになりました。
本事例の結末
祝い金は支払い不要、養育費は算定表基準で合意となりました。
最終的に、以下の内容で調停が成立しました。
・「祝い金」名目の金銭支払いは一切不要。
Aさんは、不当な金銭請求のプレッシャーから解放され、法的に妥当な範囲での養育費の支払いで合意できたことに大変安堵されていました。
本事例に学ぶこと
本事例から学べることは、法的根拠のない請求には毅然と対応することです。
離婚の話し合いでは、相手方が感情的になり、法的な根拠に乏しい要求をしてくることがあります。「祝い金」「迷惑料」といった曖昧な名目での金銭請求に対しては、安易に応じる必要はありません。
離婚時の金銭問題は、その後の生活に大きな影響を与えます。相手方からの要求に疑問を感じたり、ご自身での交渉に限界を感じたりした場合は、決して一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で離婚問題に詳しい弁護士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。
当事務所では、ご依頼者様のお気持ちに寄り添いながら、法的な観点から最善の解決を目指してサポートさせていただきます。初回相談は60分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
弁護士 時田 剛志