紛争の内容 
3年前に離婚調停を成立させたAさんは、この調停の際に、当時の夫Bに対して養育費として月額10万円を、慰謝料として3年間で月額10万円(慰謝料合計360万円)を支払ってもらう内容の合意をしていました。しかし、元夫Bは「会社の手当てが減った」などと言い訳をし、養育費も慰謝料も数か月にわたり滞納する状態になってしまいました。Aさんはこのままでは子どもを育てるのに支障が出るとして、Bに対し調停の内容通り養育費と慰謝料を支払ってもらうべく、債権(元夫Bの給与)を差し押さえることにしました。

差押などの経過
 弁護士は、差押に必要な書類を裁判所から交付してもらい、早速Bの現在の住所地等も調べ、給与の差押をしました。差し押さえを受けたBからは、弁護士に対し「何とか差し押さえを取りやめてほしい」と連絡が来ました。
本事例の結末 結局、Bは未納であった養育費と慰謝料(既に発生している分)を任意に全額支払ってきましたので、依頼者Aさんの承諾を受けた上で、Bから「今後再度支払が遅れるようなことがあれば直ちに差し押さえを甘受する」旨誓約書を取り付け、差押の取下げをしました。

本事例に学ぶこと
 給与等、財産を有している者に対し、債権を有しているのであれば、早急に差し押さえをしてしまい、未納状態を解消すべきです。残念ながら日本における養育費等の支払は、平均的に言えばあまり回収できないケースがほとんどです。給与の差押等、措置がとれる相手方とは、しっかりと調停等で合意をしておき、約束に反することがあれば弁護士にご相談いただくことが良いと感じました。