紛争の内容
夫(50代大学教授) 妻(40代パート) 子2人(19歳、16歳)
夫婦の不仲が原因で2年ほど前から別居しているが、いずれの家も同じ敷地内(妻の父親所有の土地)に建っており、子らと夫とは頻繁に行き来がある状態。
双方とも離婚の意思は固いが、財産分与にあたって共有持分のある不動産をどう処理するかをめぐって意見が合わず、訴訟となった。
妻側の代理人として受任。

交渉・調停・訴訟などの経過
夫は、当初、この土地から出て行くことを前提に共有持分の買い取りを希望していたが、評価額は2,000万円以上となり、妻側には親族からの援助も含め到底用意できる金額ではなかった。
妻としては、離婚後もこれまでどおり父親所有の土地上の家に住み続けてもらっても構わないと主張。その代わり、月々の養育費の支払いの他、子らの大学卒業までの学費を負担して欲しいと求めた。

本事例の結末
和解離婚成立
養育費月5万円。
共有持分のある不動産(自宅建物)についてはそのままとし、夫が離婚後も住み続け、一部転貸してもよいことを認める代わりに、子らが4年制大学を卒業するまでの学費(入学金、授業料)全額を夫が負担することで合意した。

本事例に学ぶこと
本件では夫が教育者であり、もともと子供達の教育に対する理解が深く、妻にとっては経済的に有利な条件(月々の養育費の他に、4年制大学卒業までの学費の全額を負担)にて和解を成立させることができた。
共有持分のある不動産については、できれば離婚の段階で権利関係を処理しておいた方がよいのであろうが、金銭的にそれも難しい本件ではこのまま手を付けないという選択もやむを得なかったと思われる。