?紛争の内容
15年前に離婚調停を成立させたAさんは、この調停の際に、当時の夫Bに対して養育費として月額5万円を支払ってもらう内容の合意をしていました。しかし、元夫Bは5年ほど前から養育費の支払いを滞るようになりました。Aさんは家庭裁判所に履行勧告という、調停で決めた内容を守るように促してもらう手続をしてもらいましたが、Bは養育費の未払い分のうち一部を支払うだけで、再び支払いが滞るようになりました。Aさんはこのままでは子どもを育てるのに支障が出るとして、Bに対し調停の内容通り養育費と慰謝料を支払ってもらうべく、債権(元夫Bの給与)を差し押さえることにしました。
?差押などの経過
弁護士は、差押に必要な書類を裁判所から交付してもらい、早速Bの現在の住所地等も調べ、給与の差押をしました。差し押さえを受けたBからは、弁護士に対し「何とか差し押さえを取りやめてほしい」と連絡が来ましたが、結局Bは養育費の未払い分を一括で支払うから待ってくれ、というだけで、具体的な期限等を設けても支払いをすることはありませんでした。
?本事例の結末
その後、Bは弁護士に相談をし、その弁護士から差押を止めるためには支払うほかないと指示をされたらしく、未払い分を任意に全額支払ってきましたので、依頼者Aさんの承諾を受けた上で、差押の取下げをしました。
?本事例に学ぶこと
養育費の支払いは、残念ながらあまりきちんとなされていないケースが多いようですが、給与等、財産を有していることが明らかなのであれば、早急に差し押さえをしてしまい、未納状態を解消することも可能です。調停や公正証書による合意などにより養育費を定めたのに、守ってもらえないというときは、弁護士にご相談いただくことが良いと感じました。