◆紛争の内容
 訴訟を提起された夫からのご依頼でした。
 訴状では,慰謝料が請求されておりました。また,共有名義(連帯債務あり)の不動産について,名義変更を求められておりました。
 ご依頼者としては,共有名義の不動産は,任意売却するなどして処分したいと主張されておりました。

◆交渉・調停・訴訟などの経過
 裁判では,不動産についての名義を妻に変更し,連帯債務を銀行から免除してもらう方向で和解の検討もしましたが,あくまでも不動産を売却することを求め,和解には至りませんでした。
 尋問では,慰謝料に関する主張(暴言,嫌がらせ)や財産分与に関する主張(不動産の分け方)が問題となり,判決に至りました。

◆本事例の結末
 判決では,慰謝料請求は認められず,不動産についても共有物分割訴訟という民事訴訟が残されていたため,名義変更は認めませんでした。

◆本事例に学ぶこと
 不動産,特に住宅ローンが付されている場合,夫婦以外の第三者である銀行等の債権者が登場します。夫婦間でいくら連帯債務や連帯保証を解除すると言ったところで,債権者が応じなければ意味がありません。また,離婚判決の効力は,原則として第三者に対して及ばせるものではないので,迂闊に手が出せません。その点は,裁判により判決に至る場合には注意が必要となります。