紛争の内容
婚姻20年目のAさんは、夫Bとの毎日の暴言・モラハラに耐えられず、一人娘のCが成人したことをきっかけに実家に避難することにしました。
BからはAさんの実家にも連絡がきましたが、その連絡は「離婚しろ」と言ったり「戻ってこい」などとコロコロと変わり、AさんはBが何を考えているか分からず、離婚の手続を進められず、弁護士に相談しました。
交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士からBに受任通知を発送し、併せて離婚届を出してもらい協議離婚したい旨伝えたところ、Bは「離婚はしても良いが、Aが自分でBに対し謝らないのは納得できない」などと言い、怒り出し、全く話になりませんでした。
その後もBに送った離婚届は1か月以上返送されることはなかったため、やむなくAさんは離婚調停を申し立てることにしました。
離婚調停の第1回期日が決まったころ、Bからは突然記入済の離婚届が送られてきました。
本事例の結末
Aさんは、Bに対し財産分与も慰謝料も請求したい気持ちはなく、ただただBとの縁を切りたかったため、この離婚届を出し、無事離婚することができたのです。離婚調停については、取下げをしました。
本事例に学ぶこと
離婚の多くは「協議離婚」の形でされているのですが、やはり当事者に困難な性質を抱えた方がいらっしゃる場合、なかなか協議離婚を自分で進めるということも難しい場合があります。
そのようなケースでは弁護士を介入させ、膠着状態に一石を投じるということも手段としてはあり得ると感じました。
弁護士 相川 一ゑ