紛争の内容

主婦をしていたAさんは、夫Bと25年前に婚姻し、息子二人を設けました。

婚姻してから約10年が経過したころ、Bが女性と不貞していることが判明し、Bは当時まだ小学生と幼稚園児だった息子二人を置いて家を出て行ってしまいました。

その後、Bは婚姻費用は支払うものの、息子二人の進路など育児には一切かかわらず、Aさんは一人で息子二人を育てていったのです。

別居が約15年続き、息子が二人とも成人したころ、ほとぼりが冷めたと思ったのか、Bは突然Aさんに離婚を求め、離婚しなければ婚姻費用を減額する、などと言いだし離婚調停を申し立ててきました。そこで、Aさんは弁護士に離婚調停を依頼することになったのです。

交渉・調停・訴訟等の経過

Bは、会社員として長年勤めていましたが、転職をしたなどと言い張り、財産はないなどと言いましたが、Aさんと息子たちが住む自宅が残されていました。この自宅にはローンも残っていましたが、Aさんはこの住宅ローンを完済し、Bの不貞について慰謝料と財産分与を併せて、自宅の名義をAさんにするならば離婚に応じる、という希望を出しました。

本事例の結末

Bは、まだ定年にもなっておらず、手持ちの預金がないなどと住宅ローンの繰り上げ返済による完済を当初拒んだものの、定年時に退職金を貰う権利もあり、不足分は借り入れをするなどし、結局Aさんのこの希望に応じることとし、不動産を完全にAさんに譲るとしました。その結果、Aさんは住宅ローンの負担をすることもなく、市場価格にして1000万円以上の自宅を貰うことができました。

息子らは既に成人し、未成熟子ではありませんでしたが、主婦だったAさんも、住む家を失うことなく、今後は新たな人生を歩むことができるということになりました。

本事例に学ぶこと

不貞など、どちらからの離婚原因により別居が始まり、長年離婚の話がまとまらない、というケースもあります。

その場合、実際の財産分与の対象は、別居時が基準となるため、あまり分与の対象となる財産がないという場合もあるのです。しかし、調停においては当事者双方が合意するのであれば財産分与の方法・内容は必ずしも夫婦5:5で、としないこともあります。こちらに有利な分け方をするよう主張できるのがどのような場合か、弁護士と協力し、検討したのが良い結果につながったと思います。

弁護士 相川 一ゑ