紛争の内容
別居後間もない夫からの法律相談でスタートしました。離婚自体については、夫婦間で争いがないように思われましたが、300万円以上の金銭要求をされている状況でした。分析した結果、当該ご夫婦が仮に裁判で決着をつけたとしても、300万円という金額を支払う理由はないと判断できましたので、まずは交渉からスタートし、法的に300万円以上を支払う理由がないことを伝えることを開始しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
意向が明確になるので、まずは書面にて、金銭要求については理由がないことを細かく説明し、その後も何度か連絡を取り合って、お互いの主張を確認しました。

本事例の結末
結局、議論状況は平行線になるかと思われましたが、交渉を開始してから、わずか2ヵ月で離婚届けの提出について合意がなされ、金銭的な支払をせず、離婚が完了しました。

本事例に学ぶこと
離婚に伴い、解決金、慰謝料、財産分与、生活費、養育費など、様々な名目で金銭の移動が行われることがあります。これらは、法的に妥当なものもあれば、必ずしも法的根拠や妥当性が見受けられないものもあります。
本件では、まさに、法的に支払義務を負うであろう慰謝料や財産分与がなく、お子さんもいない状況でしたので、金銭要求には応じられないこと、及びその根拠を示すことが求められました。
当然、一方の代理人弁護士が言っていることが絶対に正しいとは限りませんので、相手方なりに法律相談等を経て、結論を出したものと思いますが、代理人弁護士としては、相手方が法律相談した際に弁護士が見たときに筋が通っているかという視点からも書面を作成しております。
そのため弁護士同士であれば通じる文書というものがあり、多くの当事者同士のやりとりでは、このような文書を作成するのは至難と思われます。一見、文献を基に合理的と思われる内容を記載したお考えであっても、弁護士というのは、それこそ様々な知見や情報をもとに総合的に検討・判断しておりますので、当然に交渉が噛み合うとは限りません。

別居直後で離婚についてお悩みの方は、まずは、離婚に強い弁護士にご相談下さい。

弁護士 時田剛志