紛争の内容
相談者のAさんは、夫から複数回にわたって暴力を受けていました。暴力の他にも暴言も吐き続けられたことにより精神疾患を負うに至りました。また避妊に協力をせずに子を妊娠させられたこともありました。

交渉・調停・訴訟などの経過
Aさんは直接夫とやりとりをしていましたが、夫は慰謝料を支払えばいいんだろうと言い、財産分与等の話をしようとしても話合いをしませんでした。
Aさんからのご相談を受けたところ、Aさんが生活費を管理していましたが、離婚の話を持ち出すと生活費を支払わなくなるおそれもあったことから、離婚調停と共に婚姻費用分担調停を起こすことにしました。

本事例の結末
離婚調停では、夫は慰謝料の支払いを拒絶し、婚姻費用についてもAさんが管理していた通帳類を返還するよう求め、さらに「自分には立替分が多くある」と主張し支払いをしませんでした。しかし、詳細に婚姻費用を計算したところ、立替分を超過した婚姻費用が発生していました。
また慰謝料についても、当初は支払いがないと述べていました。しかし、暴力をして逮捕された経緯もありました。
また、夫はAさんになかなか生活費を渡さなかったところ、貯金をしていたことから財産分与の対象となる財産もありました。
もっとも、婚姻関係が長期にわたっていたわけでもなかったため、財産分与の金額はそこまで高額なものではありませんでしたが、対象財産を2分の1とし、慰謝料等を含め解決金として260万円を取得し離婚することとなりました。
お子様が下りましたがお子様の養育費も算定表どおりの金額を月額もらう約束をしました。
もっとも夫は面会交流を強く希望していました。Aさんは直接会うことはできないと考えていましたが、子との関係が悪いという事実はなかったことや子の気持ちを考え、面会交流に関する約束を別に決めて応じることとしました。

本事例に学ぶこと
離婚するまでは、面会を求めなかった方が突然面会を求めることはしばしばあります。
面会については、当事者同士で会うということはなかなか難しいですが、離婚の件と面会の件は別として子の目線で考えられると話合いがスムーズに進むこともあります。
今回のケースでは暴力を受けて恐怖を抱いていたことには変わりありませんが、子どものことと離婚のこととを切り分けて考えたことが解決に結びついたものと思われます。
また、相手方からの暴力については証拠や診断書等もあり相手方としても暴力については争えない状態でもあったため、慰謝料の支払いを含めて相手方も行わなければならないと思った部分があると思われます。
慰謝料の請求をするには証拠を集めることが必要となります。辛いことと思いますが証拠をとっておくことは必要なこととなります。離婚や面会交流などに迷いがある場合にはご相談ください。

記事監修 代表・弁護士 森田 茂夫