紛争の内容
依頼者であるXは、10年以上前、A女と不貞関係にあったことを原因に、それから10年以上妻Yとは別居していました。Yとの間の子どもたちも一部成人したため、離婚を求めることにしました。

 交渉・調停・訴訟などの経過
まず①離婚調停を申し立て、離婚を求めました。
また②あわせて、それまでXがYに支払っていた婚姻費用が、子どもの一部成人にともない算定表に比して高額となったため、婚姻費用の減額請求の調停も申し立てました。
②については、算定表に基づき、減額が認められました。
もっとも、Yは①離婚については応じず、調停不成立となりました。
そこで、離婚訴訟を提起しました。

 本事例の結末
Xが、Yに一定の解決金を支払う形ではあるものの、和解によって早期の離婚が認められました。

 本事例に学ぶこと
有責配偶者からの離婚請求は原則的には認められません。
もっとも、判例によれば、①長期間別居していること、②夫婦間に未成熟の子が存在しないこと、③配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれないことの3要素をポイントとして有責配偶者からの離婚請求も認められています。
本件もこの3要素があったため、和解での解決が図れたのだと思います。
もっとも、上記3要素は必ずしもすべて満たす必要はないため、有責配偶者にあたり得る事案であっても、一度相談していただく価値はあると思います。