紛争の内容
元々、夫は会社の都合から妻とは別々に生活を送ることが多くあり、結婚15年目にして、離婚を決意した妻から依頼を受け、交渉を開始しました。
財産としては、夫名義の不動産、夫婦の預貯金などがありました。
二人の間には子がおらず、数匹の猫を妻が飼っておりました。

交渉・調停・訴訟などの経過
交渉としては、離婚協議を申し入れる書面を夫に送付し、夫が代理人弁護士を選任し、弁護士間での交渉になりました。
こちら(妻側)としては、夫名義の自宅に長年住んでおり、猫が命を全うするまでは自宅に住みたいと考えておりました。しかし、子はおらず、猫は法律上「物」扱いのため、向こう20年間は家に住むことを求めました。
また、夫の方が妻よりも稼ぎが大きかったことから、財産分与として一定額の支払いを求めました。

本事例の結末
結論としては、約6ヶ月の慎重な協議を重ね、財産分与としてキャッシュ400万円に加え、夫名義の一軒家に20年間居住することを認めさせ(使用貸借よりも権利性の強い賃貸借※ただし、財産分与金との相殺で支払済みの扱いとしました。)、公正証書を作成して、離婚することができました。

本事例に学ぶこと
財産分与というと、キャッシュで解決するというイメージがありますが、事情によっては、キャッシュが容易できなかったりすることもあり、現物でやりとりすることがあります。本件では、現物が欲しいのではなく、居住を認めさせたいということに主眼がありましたので、夫名義の不動産に居住することを認めさせ、かつ、一部はキャッシュの財産分与として支払ってもらうことにより、当面の生活資金とすることとしました。幸いにも、依頼者は仕事が安定する兆しがありましたので、今後は自分のタイミングで家を出ることが可能となりました。

なお、公正証書としたのは、一つは公的側面がある書面であり、合意内容の信頼性が増すことに加え、例えば支払義務については強制執行が可能となることにあります。公証役場との事前の折衝や必要書類の具備、公証役場で当事者が対面(代理人弁護士でもOK)するという少し面倒な手続が必要となりますが、このような利点もありますので、検討が必要です。

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弁護士 時田剛志