妻側の代理・・・依頼を受けてから調停離婚成立まで約5か月

妻 50代後半、主婦(無職)
夫 50代後半、自営業
子 2人(いずれも成人)

妻は、結婚当初から約30年に渡って、夫からの肉体的暴力、性的暴力、言葉の暴力にさらされてきました。夫の暴力によって骨折することもありました。これまでは「2人の子供が独立するまでは」と思い、必死に耐えてきたのですが、DVが引き金となって精神疾患を発症するに至り、シェルターに保護されました。

相談に来られた時、妻は「悪いのは私。私はダメな人間だ」と考えがちでしたので、まずは、そうではなく、「悪いのは、力によって一方的にあなたを支配しようとする夫の方なんだ」と現状を認識してもらうことから始めました。妻の願いは、ただ一つ、離婚して夫から逃れることでした。そのため、慰謝料や財産分与は一切請求せず、とにかく早く離婚を勝ち取ってほしいとのご希望でした。

そこで、こちらから金銭請求なしの離婚調停を申し立てたのですが、夫は納得がいかないようで、「なぜこれで離婚などと言われなければならないのか」、「妻の居場所を教えろ」と言い、調停期日が終わった後も弁護士にしつこくつきまとってきました。しかし、調停委員の尽力もあり、調停を重ねるうちに、夫の態度は次第に軟化してきました。「ここで納得してもらえず裁判に進むなら、多額の慰謝料請求をします」と主張したのも響いたのかもしれません。最終的には、夫は離婚に合意し、調停離婚が成立したのでした。

夫の暴力から逃れるため、敢えて慰謝料、財産分与、年金分割等一切の金銭給付をせずに離婚を優先させた事案ですが、調停と並行して生活保護の申請をしてもらい、また独立した子供たちのバックアップもあって、妻は平穏な生活を手に入れることができました。

■財産分与 求めず
■慰謝料  求めず
■年金分割 定めず