?紛争の内容
長年、夫からの家庭内暴力に悩み、子を連れて実家に戻っていた妻が、離婚調停を申し立てたものの、相手方夫が離婚に全く応じなかったため、妻の代理人として、弁護士が受任をしました。

?離婚調停の経過
まず、相手方夫はDVの事実を否認し、調停では離婚理由がないとしていました。
しかし、別居に至る経緯や、これまでのDVの痕跡等を調停委員に示し、相手方に非があるのではないかということを納得させることに最初の力点を置きました。
次に、離婚するとしても夫は子の養育費を支払わないなどと主張したため、義務教育が中学までとはいえ、最低限でも高校を卒業するのは日本で当たり前になっていること、裁判所の判断にゆだねれば、争いようがないことを示し、高校の入学金も含めた養育費の支払いに同意をしました。
なお、当初夫から妻に対して「お金を持ち逃げした」などとして、金員の返還請求の主張もされましたが、この点はDVからの避難のためにやむなく費消したものであって、返却できないとして、裁判所からも説明してもらい、夫の請求については諦めてもらいました。

?本事例の結末
養育費・面会交流不実施については、調停で合意を取り付け、離婚調停成立・事件終了となりました。

?本事例に学ぶこと
近年、DVをきっかけとした離婚請求は増えていますが、DV加害者とされる者が自身のDVを否定することも多くあります。その中で、裁判所の調停委員の方にも説得をしてもらい、別居に至る経緯を相手方に理解させ、「離婚やむなし」とする方向性に持っていくことが必要であると感じました。